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ひきこもり支援の勉強会を実施しました

12月17日(日)に山口大学大学院の山根教授とひきこもりを経験された方 2名をお招きして、ひきこもりで悩まれている当事者・家族への支援はどうあるべきか、どのような取り組みができるかを一緒に考える勉強会を実施いたしました。当日は寒さがひときわ厳しく、雪もちらつきましたが、非常に多くの方にご参加いただきました。多くの方が参加された背景には、ひきこもりという問題が非常に身近なものであるという事実があると言えるかもしれません。

当事者としてひきこもりの問題について話してくださった方も「ひきこもりは誰でもなりえる。自分もなってしまうまでは一部の人がなってしまうものであって、自分には関係ないことだと思っていた」とおっしゃっていました。ひきこもりというのは確かに特殊な状況ではありますが、そこに至る原因というのはおのおの非常に多くのパターンがあり、また特別変わった理由があるわけでもないことが多いと言います。
例えば、「学業や仕事における失敗から」、「人間関係のトラブルから」、「近しい人との死別から」、「事故や病気から」などなど、原因はひきこもりを経験した人でなくても経験する「苦しさ」であることも多いのです。しかし、一つ一つのトラブル・失敗は乗り越えられるものであっても、これらが複数一気に来てしまうことも時にはあります。そうなってしまった時には誰でも「周囲に対しても自分に対しても絶望してしまう」ことはあり得るといいます。自分で解決が難しく、かつ周囲も信用できず、助けを求めることができない時、できることは少しでも自分を守るために自分の居場所からなるべく動かないことなのです。
しかし、セーフゾーンにいたからといって自己評価が改善されることもないし、周囲は当事者の気持ちを理解することも難しくなっていくわけです。多くの場合、ひきもこっていることは当事者にとっても辛いことだと言われています。実をいうと私も 10年間近く学業の不振や人間関係のトラブルなどからひきこもっていたことがあります。その時は自分の部屋に閉じこもって好きなタイミングで寝て起きて、食べて、自分の気の向くことだけをやっていましたが、その間中ずっと「自分はこのままでいいのだろうか、もっとできることもあるはずなのに」という焦る気持ちと「自分が頑張ったところで何もできることなんてない」という諦めの気持ちが同時に存在していました。何年も外界との接触を限りなく避け続けた結果、一時は自分の名前も思い出せなくなるくらいになっていましたが、数年前から福祉的な支援を受けて、自分を見つめ直し、今こうしてワークネット北九州のスタッフの一人として仕事ができています。今になって思えば、趣味のゲームも仕事をしている今の方がひきこもっていた時より楽しく感じますし、食事の味だって美味しく感じます。人はやはり他人から「ありがとう」とか「頑張っているね」と言われたいし、それが無ければ自分に自信をもって行動する、自由を謳歌するなんてできるものではないと思います。
ひきこもり支援では、当事者への支援以外にもその家族への支援も重要と言われています。日本では特に、「子供の問題は親の責任、家族の責任」と考えられることが多く、ひきこもりの方の家族もまた孤独感に苦しんでいることも多いのです。なんとかひきこもりの方を外に連れ出そうとして手を尽くした結果、本人からは余計に煙たがられ、家族も疲弊してしまうケースが非常に多いのです。近年、8050問題という言葉が知られるようになり、同時にひきこもりの子供と家族との間のトラブルから殺傷事件に発展してしまうという痛ましい事件もニュースで見かけることが増えました。ひきこもり支援の重要性は年々高まっており、少しずつそれは福祉サービスという形になっているものの、当事者やそのご家族からすれば「誰に相談すればいいのかわからない」、「どのサービスを利用すればいいのかわからない」という状況になりやすく、また各々のサービスもそれぞれが独立して支援をしている状況で「〇〇と□□では違うことをアドバイスされた」というようなことも多いと聞きます。そのような状況では当事者や家族の方も混乱してしまい、余計に大きなトラブルに発展する危険性もあり得ます。特にひきこもり問題においては、当事者の方と家族の方々との関係が良好でないことも多く、家族が支援者を連れてきても「当事者にとって良い相手」と見なされず、当事者が面会を拒否するということが多いようです。当事者と支援者との間に信頼関係が構築できないと、会うことすらままならないですが、そこまで行くにもかなり時間がかかります。
そこで山根先生はまず家族の方と支援者が繋がり、家族の方のお悩みに寄り添うとともに、家族の方にひきこもりの方とどう付き合うべきか教えることが大切だと指摘されました。つまり、まず当事者の方と家族との関係を改善し、信頼関係を構築することで、支援員と引きこもりの方が良い出会いをしやすくなるというわけです。

今回は5月の講演会に引き続き山根先生に講義していただきましたが、さらに当事者の方々の意見も聞けるかなり貴重な機会となり、大変勉強になりました。ワークネット北九州では様々な生きづらさを抱える方がどのような支援を受けることができるか、皆様に知っていただけるようなイベントを企画・開催しております。今後も様々なイベントを開催いたしますのでホームページのイベント情報も参照していただけたらと思います。

(支援員 上村)