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吉村芳生展へ行きました。(土曜開館)

先週に引き続き土曜開館が行われました。今回は小倉にある室町リバーウォーク内の北九州市市立美術館別館で開催中の「吉村芳生展」を皆で見に行きました。

吉村芳生さんは多数の鉛筆画作品を世に出しており、その精密なタッチや技法による表現力に圧倒されるばかりでした。

館内の作品は白黒タッチの日常の風景を見たままの濃淡で描く表現技法の世界と、それらの技術が円熟した後年に描かれた色鉛筆がによる花の景色が分けられて展示されていました。

私は美術に関しては素人であり美術館にも年に1回行くか行かないかですが、それでもその鉛筆画に景色を感じてしまいその世界に吸い込まれるような体験を味わいました。

1階のテーマは「鉛筆画による技法の世界」でした。ジーンズや金網といった写真に撮ったモチーフをマス目毎にわけて精密に濃淡を描くというものが多くありました。説明の中で、吉村氏の「現代で写真によって薄くなった精密画への意識、技術を自分の中で蘇らせる」というような言葉がありましたがそれを実感として感じられるほどにその絵に迫力を感じてしまいました。

写真と見まごう精細さで花々が描かれています。

1階の展示には大量の新聞紙にその記事を見ている自分の表情を描くという作品が大量に並んでいました。その表情はとても生き生きと描かれており笑顔のしわや難しい表情で記事を読む眉間から表情を捉えることができました。一つ一つの作品に込められた情念、そしてそれらが周りをずらりと囲んでいるというインスタレーションから背筋が震えるような伸びるような不思議な感覚を覚えました。

新聞紙に大きく吉村氏自身の表情が描かれています。

2階の展示は色鉛筆を用いた花の風景画となっていました。一つ目の作品を最初に見た時からその鮮やかさに心が引き込まれ、自画像と同じく花の表情を捉えたかのような景色に初めて見た時から見入ってしまいました。

これらの作品の中で一番心に残っているのは巨大な色鉛筆画である風景画2つ、その中でも独自の世界観を感じるような作品「未知なる世界からの視点」です。菜の花とすすきの原っぱ、そしてそれらを反射する水面、しかしこの絵は視点が通常と異なり上の方が移ろう水面であり現実(うつしよ)の世界が下の方となっています。水面に映る景色もあまりにも生き生きと描かれているため反射像であるはずの上の方の景色にも一つの世界があるように思えてしまい、本当にこの世と常世の狭間、未知なる視点からからこの景色を覗いているような不思議な感覚でした。

今まであまり美術鑑賞をしてこなかった私ですが、今回これほどの感動を美術鑑賞でするとは思ってもいませんでした。他の皆にも美術鑑賞をお勧めしたくなるそんな素晴らしい土曜日を過ごすことができてとても嬉しかったです。

(利用者 Oさん)