睡眠と早起きについて考えよう
生活習慣を改善することは、生活や仕事をするために非常に大事なことです。一言で生活習慣と言っても、飲食についてや運動についてなどもありますが、今回のコラムでは睡眠について考えてみます。
人間は個人差があるものの一日平均 6 ~ 10 時間程度の睡眠を必要としていると言われています。一方で現代人はなにかと睡眠時間が不足しやすいとも言われています。
睡眠時間が不足すると次の日の活動に大きな影響が出てきます。昼間に眠気が出てボーッとしてしまう、何となく集中できずイライラしてしまうといった問題は一日寝不足なだけでも起こりうることです。これだけでも厄介なことですが、寝不足の状態が長期にわたってくると、夜の間眠れず昼に眠ってしまう「昼夜逆転」状態になったり、食欲の低下や病気への抵抗力低下で健康を損なう確率も上がります。
またうつ病などの精神疾患は寝不足と密接に関連しているということが近年分かっています。うつ病が不眠を引き起こし、寝不足状態が精神的不安を大きくしてしまい、結果としてさらにうつ病が悪化するという悪循環が指摘されています。
寝不足状態に対してどれだけの耐性があるかは個人差が大きく、生活スタイルによっては日中に寝て、夜間仕事をするというのも可能ではあります。しかし、社会全般を見た時、そういった「昼夜逆転スタイル」より日中は起きて、夜間は寝るスタイルの方が一般的で仕事の選択の幅も多くなります。また社会一般のルールのほとんどは「昼を活動時間、夜を休息時間」という前提で作られていることが多いです。
例えば、ゴミ出しは一般的に指定日の早朝 ~ 8 時ごろまでに行うこととされ、夜間にゴミ出しをすることは迷惑行為とみなされていることが多いです。日中は騒音とみなされないような掃除機や洗濯機などの音も、夜間では騒音とされることが多いので夜間に家事をするのは近隣の方とのトラブルの元になります。緊急時以外の電話なども深夜にかけることは相手側に失礼となるだけでなく、これも騒音問題につながる可能性が高いです。
またワークネット北九州も利用できる時間は通所・在宅を問わず、 9 時半から 15 時までと決まっています。昼起きれないので、夜間利用したいという要望には応えることはできません。
ワークネット北九州では生活のスキルを高め、自分に合った仕事を見つけるためにも早寝早起きを習慣づけることを推奨しています。特に早起きは重要な社会的スキルと言えます。先述のとおり社会的ルールは朝起きるスタイルに合ったものとなっています。「体調が悪くて、今日は仕事を休みたい」といった連絡も当然朝の始業前にする必要があります。つまり、体調が悪くとも朝は起きてないといけないわけです。
とはいえ一日だけ夜更かしによって寝不足になる程度なら修正はさほど難しくありませんが、昼夜逆転状態になっている人にとって早寝早起きをすぐに身に着けることは困難なことです。
私も以前うつ病を患っていた時、酷い昼夜逆転状態でした。医師から生活習慣の改善をアドバイスされたときも、頭ではその必要性を理解しつつもどうすれば改善できるか分からない状態でした。「そもそも夜眠れないので朝起きれないのは仕方ないことではないか」とうつ病の不眠を理由にして朝起きれないことを正当化していたように思います。
そこで、眠れないのは仕方ないので、朝だけ決まった時間に起きるように訓練をしました。毎日起きた時間をノートに記録するという訓練です。とりあえず二度寝してもいいから決まった時間に一度起きる。これを通院・投薬とともに数年続けることで、今では目覚まし時計をセットし忘れてもだいたい決まった時間に起きることができるまでになりました。
朝起きることができるようになったことに合わせてうつ病の症状も緩和され、就職に向けた訓練も集中してできるようになりました。
早寝早起きの習慣をつける方法は他にも様々なものが提案されています。「朝起きることができない」とお悩みの方はぜひ色々な方法を試してみてはいかがでしょうか。
(支援員 上村)